残る1つの凍結胚の移植に万全を期したい。有効な検査やOPは?

相談者 :マイメロディーさん(46歳)
▶︎凍結胚の移植前にできることは?
16 年前と12 年前に自然妊娠で出産。7 年前に胚盤胞を凍結し、自然周期で移植するも着床せず。今年、残る1 つの凍結胚の移植を決めました。すでに各種検査をしましたが、自費を含めほかに有効な検査やオプションがあるか、腹腔鏡検査も必要か、ホルモン調整周期のほうがいいか、避妊なしの性交渉は着床率に影響するかを知りたいです。凍結胚を保存している施設と現在通院中のクリニックが違うので、どちらで移植するかも迷っています。
【医師監修】神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生
札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。臨床遺伝専門医。

移植に向けて追加で行ったほうがいい検査やオプションはありますか?

岩見先生● 子宮鏡、エコー、子宮内細菌叢、着床の窓、免疫系、甲状腺など必要な検査はほとんど受けられていて、結果も抗リン脂質抗体が若干高めという以外は異常ありませんので、十分だと思います。腹腔鏡検査も検討中のようですが、手術になりますから体への負担があります。卵管水腫や癒着の可能性を考慮しても、クラミジアや子宮内膜症がなく、エコーで異常が発見されていなければ必要ないでしょう。
子宮内細菌叢はラクトバチルス99・5%と良好ですが、気になるのは菌の構成です。もしクリスパタス菌が少なければ、サプリメント等でラクトバチルスの構成をクリスパタス菌メインになるよう調整するといいと思います。
オプションについては自費のhCGやG -CSFの使用を挙げられていますが、確かに効果がある方もいるので、先生に相談してみるのがいいでしょう。
一つ気になるのは移植日からのバイアスピリンRの内服です。アスピリンは着床率が下がるケースもあり、使用には賛否両論があります。抗リン脂質抗体の数値を見る限り、私は必要ないと思います。内服するにしても移植5日後以降がよいともいわれています。

移植は自然周期とホルモン調整周期、どちらがいいでしょう。また、避妊なしの性交渉は着床に有効ですか?

岩見先生●移植は自然周期でよいと思います。どちらも妊娠率は変わりませんが、マイメロディーさんは自然妊娠、出産の経験がありますし、妊娠中の合併症リスクも、自然周期のほうがホルモン調整周期に比べて低いですから。
避妊なしの性交渉は着床率への影響はありません。風説になっているようですが、医学的エビデンスはないです。

凍結胚の保存施設、検査をした施設、移植はどちらで行うのがいいですか。

岩見先生●それぞれのクリニックの妊娠率を確認して、そのうえで検討してみてはいかがでしょう。7年前、1回目で着床しなくても着床不全とはいえません。マイメロディーさんは自然妊娠で2人のお子さんを出産されています。可能な限りその頃と同じ環境をつくって移植するのが望ましいと思います。
100%確実に結果を出す治療法はありませんが、PGT -A検査済みの正倍数性胚であれば、着床率70%、継続妊娠率55〜60%です。5AAの胚ですから次の移植で成功する可能性はあると思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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