【Q&A】痛すぎて生理が来るのが怖い、受けるべき検査とは?~稲垣先生【医師監修】

たんさん(28歳)

月経痛がひどすぎて悶えて動かない日が中3日ほど続きます。月経後も痛みが強く、月の半分はロキソニンを飲んでいる状況です。
子宮筋腫はありますが、経過観察のレベルで、強い痛みを生じるほどではないと言われています。
自分では痛みに耐えるのがつらく、助けてもらいたいと思っています。
少しでも早く妊娠したいと思い治療を始める決意をしましたが、とにかく生理がくるのが怖いです。
必要な検査や対処を知りたいです。

稲垣先生にお話をおうかがいしました。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●月経痛がひどい原因について、先生の見解をお聞かせください。

月経困難症の原因としてははっきりとした原因のある器質性月経困難症と、原因となる疾患がはっきりしない機能性月経困難症があります。子宮筋腫は器質性月経困難症の原因となる疾患として代表的なものと言えます。そのほかには子宮内膜症などがあげられます。相談者さまについて、子宮筋腫が月経困難の原因である可能性が否定しきれませんが、文脈からすると機能性月経困難症であることも推測されます。とくに、深部子宮内膜症といわれる、骨盤底の靭帯等に炎症が波及している状態の場合、画像等で明確な病変部位が指摘できなくても、強い月経困難症を呈することがあります。

●月経後も痛みが続くのはどのような理由が考えられますか?

上記のようなことのほかに感染症の検索も必要なのではないでしょうか。クラミジアや骨盤腹膜炎など。

●子宮筋腫が妊娠に与える影響について教えてください。

子宮筋腫は子宮を増大させたり変形させるなどして、子宮内腔を変形させたり、軟膜下筋腫の場合などは子宮内腔に筋腫核が突出することによって直接的に妊娠を阻害する恐れがあります。

●現在の状況で妊活を始めるにあたり、必要な検査はありますか?

Q&Aシートの情報が少ないので判断が難しいですが、MRIや超音波検査、腫瘍マーカー等子宮筋腫の精査に必要な検査はもちろん、不妊診療に関する一通りの検査は必要なのではないでしょうか。

●痛みを和らげるための治療法や生活習慣の改善法について教えてください。

対症療法として鎮痛剤の仕様はある程度合理性があると思いますが、根本的な治療にはならないことは言うまでもありません。痛みの原因が特定できればその治療をすることが最善だと思います。そのほかの手段として、月経が来なければ月経痛は起きませんから、月経を止めることで月経困難が回避できることが期待できます。妊娠が成立することもよい解決策だと思います。
また、妊娠とは正反対になりますが、偽閉経療法といって、投薬によって閉経後と同様のホルモン環境にすることで一定期間月経を止めることにより月経を回避することができます。これは子宮筋腫や子宮内膜症子宮腺筋症の治療としてひろくおこなわれています。ただし、閉経後の状態にするということは排卵も抑制されるということですので当然、妊活とは両立しないことになります。この点には注意が必要です。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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