【Q&A】刺激法の変更は可能?~井上善仁先生【医師監修】

あやさん(26歳)

採卵に向けての刺激法について質問です。
医師から今後は低刺激でいくと言われていますが、他の刺激法はもう難しいのでしょうか?

低AMHですし年齢的にも低刺激を勧められることはわかります。ただ、低刺激にしてからあまりいい結果につながっていないため、このまま低刺激を続けるべきか悩んでいます。
体外受精にステップアップして始めからずっと自費診療のため、採卵は最低でも2個以上の時に行いたい気持ちがあることと、年齢、費用を考えると、体外受精(採卵)ができるのはせいぜいあと1~2回だと思っています。

PPOS法で刺激した時が今までで一番いい結果が出ているので、もう一度PPOS法を試したい気持ちがあるのですが、医師に相談してみてもいいのでしょうか?(院長先生からは、5個取れたのは奇跡的で出来過ぎだと言われたことはあります…)
PPOS法で刺激しても採卵数が増えないかもしれないこと以外に何か問題はあるのでしょうか?
おすすめの刺激法を教えていただきたいです。

井上先生にお聞きしました。

【医師監修】井上 善仁 先生 昭和59年3月、九州大学医学部卒業。同年4月、九州大学医学部婦人科学産科学教室入局。平成20年4月、福岡大学病院准教授。平成28年7月に井上善レディースクリニックを開院。スタッフ一同が協力して良いクリニックを作っていき、一人でも多くの患者さんに満足していただけるよう努力している。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

①あやさんの稽留流産について、具体的な原因を特定することは可能でしょうか?

心拍確認前の妊娠早期に起こる流産については90%以上が胚自体の異常(染色体異常など)によって起こります。患者さん自身に問題があって起こる事は基本的に稀です。流産検体(子宮内容物)の染色体検査を実施すれば胚に異常があったかどうかの判断ができますが、初回の流産でそれを行う事はむしろ稀であり、現時点で流産の原因を調べることは出来ません。胚盤胞のグレードは主として胚の形態による評価ですから、その胚が異常を持っているかどうかの判断は出来ません。まだ良好な胚盤胞が凍結されているのであればうまく行く可能性は充分にあります。初回の移植で妊娠されたことは、あなたが妊娠できる力をキチンと持っている証しですから前向きに捉えた方が良いと思います。

②あやさんが再度妊娠し、出産に至る可能性について、どの程度期待できるでしょうか?

年齢から考えてもキチンと治療を継続されれば100%近い確率で妊娠出産はできると思います。

③稽留流産後、妊活を再開するための適切な期間について教えてください。

一般的に流産後は初回の月経周期は治療をお休みして2回目の月経周期から再開することが多いと思います。

④あやさんがこれから妊活を進めていく上で、流産のリスクを最小限に抑えるためのアドバイスをお願いします。

流産を少なくする方法があるかとの質問ですがそれはなかなか難しいです。胚の移植前に、胚に異常がないかどうかを調べるPGT-Aという着床前診断がありますが、現状では採卵から全て自費で行う必要があり、今あなたにその適応があるかと言えばないと思います。流産を繰り返すような事があれば考慮する必要はあると思いますが、そうそう流産が続くこともあまりないので、先ほど書かせて頂いた通りに、現状では通常の移植を継続されるのが一番最善の策であると思います。
葉酸のサプリは是非摂取して頂いた方が良いと思います。妊娠することにも役立ちますし、胎児の神経系の異常を減少させる効果がありますので。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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