▶クロミッド®服用後の卵胞成長が停滞
クロミッド®で卵胞が育ち排卵していたようですが、3周期目に入って卵胞が育たず、子宮内膜も薄いまま。クロミッド®の服用で子宮内膜が薄くなる、といったことも耳にして、このまま様子見でいいのか不安です。また来春以降、仕事の都合で地元に引っ越す予定です。治療のステップアップも考えているのですが、治療途中で転院する場合、再度、検査から始めないといけないのでしょうか? 今後の治療や仕事のキャリアのことなど不安が募ります。

鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字社医療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。「一人でも多くの患者さまに幸せになっていただくために、努力を続けてまいります」。
子宮内膜が薄くなったのはクロミッド®の服用によるものでしょうか?
政井先生●クロミッド®は脳の視床下部に働きかけて卵胞の成長をうながす一方、子宮内膜の増殖を抑える作用があります。そのため、服用すると子宮内膜が薄くなる可能性があります。通常は初回から子宮内膜が薄くなるというケースは少ないのですが、長期にわたって使うと可能性は増します。子宮内膜が薄くなりすぎると着床に支障をきたす可能性があるので、薬剤の中止または変更を検討します。また、子宮内膜が薄くなっても、注射に変更すれば問題ない場合があります。すももさんの場合、クロミッド®自体が効いていない可能性も考えられるため、レトロゾールなどほかの排卵誘発剤へ変更を検討してもよろしいかと思います。
引っ越しを控えている場合、治療のステップアップの時期などはどう考えたらいいでしょうか?
政井先生●より腰を据えて治療ができるという点で、引っ越し後にステップアップするのがおすすめです。施設ごとにドクターの考え方も異なると思うので、転居先に近いいくつかのクリニックの先生に自分の希望する方法を伝えて、それに応えてくれそうかどうかで施設選びをするといいかと思います。これまでの診断や精液検査などの状況、データ内容は紹介状に記載されますので、追加で必要な検査がない限り、再度同じ検査をする必要はありません。
すももさんの場合、PCOSが卵胞の発育の停滞にかかわっていると思われるため、まずはレトロゾールを試して、発育するかどうか様子を見ましょう。何回か使って効かないようなら、FSH製剤を投与します。ステップアップした場合、通院頻度が増すこともありますから、転居後のタイミングがいいと思います。
すももさんは転居や仕事のキャリア、治療のことなどで、メンタル的につらい状況のようです。
政井先生●仕事との両立に悩む方は多くいらっしゃいます。手軽にできることでいいので、休日の過ごし方を工夫してみるといいかもしれません。
治療をステップアップすると、さらにスケジュール調整が大変になりますから、ご夫婦で家族計画をしっかりと立てて、無理のない範囲でドクターと相談しながら治療を進めていくようにしましょう。