ぽんさん(30歳)
今年1月にTRIO検査を行った結果、ラクトバチルスがウルトラローということがわかりました。
それ以降、ラクトバチルスとラクトフェリンを飲んでいるのですが、どのくらいで効果があるでしょうか。再検査は必要ないでしょうか。
また子宮鏡検査も行い異常なしでしたが、これはいつまで有効なのでしょうか。
CD138という検査があることを知ったのですが、子宮鏡検査をすれば受けなくてもいいのでしょうか。他にもしておいた方がいい検査があればご教示ください。
蔵本先生に質問してみました。
Endome TRIOのうちEMMA/ALICE(子宮内細菌叢検査)の結果がウルトラローということですが、善玉菌であるラクトバチルスも含め子宮内膜内の細菌が非常に少ないということです。
細菌が少ないのは良いことですが、善玉菌であるラクトバチルスは菌全体の90%以上必要と言われており、ラクトバチルスが少ないと言えます。治療としてはラクトバチルスの含有した膣剤を膣内へ挿入するのが最も効果的で、さらに自分のラクトバチルスを増やす目的でラクトフェリンやラクトフローラなどのサプリメントを内服す
ることも良いです。
ラクトバチルスの膣剤を投与すれば、1ヶ月くらいで効果が出てくると思います。EMMA/ALICEでウルトラローの場合は異常な菌がほとんどないため、再検査の必要はありません。
子宮鏡で異常が見られなかったということは、子宮内に内膜ポリープや炎症性所見が見られなかったということだと思います。子宮鏡は1度診察したら、6ヶ月は保険で行う事は出来ませんし、頻回に行う必要もありません。顕微授精の保険が終わっても、6か月以上経ち、必要があれば子宮鏡検査を保険(病名が必要です)で行うことは可能です。
EMMA/ALICEを行って異常な菌が出ていないので、ぽんさんはCD138の検査を行う必要はありません。CD138は慢性子宮内膜炎の診断をするための検査ですが、自費となります。
流産歴があるので、血液凝固系の検査を行うことをおすすめします。抗カルジオリピン抗体IgG、IgM、LAC、プロテインS、プロテインC、抗PE抗体(自費)や甲状腺機能検査(フリーT4、TSH(2.5µIU/ml未満が基準)などがありますが、習慣流産、抗リン脂質抗体症候群の病名で抗カルジオリピン抗体IgG、IgM及びLACは保険で検査を行うことができます。
また自費にはなりますが、細胞性免疫が強いと着床不全や流産の原因となるとも言われていますので、Th1、Th2測定を行います。TRIOでERA(子宮内膜着床能検査)の結果はどうだったでしょうか。AMHが7.6で卵巣内の残っている卵子数が多く、卵巣の反応が良いと考えられるため、これまでの卵巣刺激法はわかりませんが、次回の卵巣刺激はこれまで行っていなければ、やや低刺激(クロミッド+月経開始5~6日目頃より、FSH150単位隔日投与)で行い、さらに胚培養液を変更しても良いでしょう。
胚盤胞まで発育するのに、どうしても着床しない場合は自費となりますが着床前胚染色体異数性検査(PGT – A)を行い、染色体の正常な胚盤胞を移植する方法もあります。